まずはじめに断っておかないといけないのは、僕は自発的にちょこちょこ勉強をするくらいには歴史が好きだということ。
決して、歴史が嫌いで偏屈な価値観を押し付けようというのではない。
歴史の面白さを教えてくれた
学生時代は歴史が嫌いで単なる暗記科目に過ぎなかった。
いつも一夜漬けで詰め込んでテストに臨んでいたけれど、暗記は得意だったのでかなりいい点を取っていたんだよ。
だけど、テストのためだけの短期記憶だから、終わってしまえばあっという間に忘れてしまって、受験本番では散々だった。
当時の歴史の先生は、いつも僕が定期テストでいい点を取っていたから、入試でも期待してくれていたんだけど、合わす顔がなくて申し訳なかった。
それが20数年経って歴史が好きになった。
きっかけは子どもの歴史嫌いだった。
血は争えないもので、娘が小学校高学年の頃、歴史の授業が始まってすぐ、授業の内容が面白くないと勉強に身が入らない様子だった。
他の科目は興味を持って、自らいろいろ知りたがるような子だったので、よっぽどつまらなかったのだろう。
これでは僕と同じ轍を踏むと、いろいろ調べてたどり着いたのが、「風雲児たち」というみなもと太郎作の歴史漫画だ。
本来、激動の幕末期を描く作品なのだが、みなもと太郎氏が凝り性なのか変態なのか、そこの登場人物たちの背景や行動の機微を伝えるために、なんと関ヶ原の戦いまでさかのぼって、そこから幕末に向けて延々と描かれている。
もう幕末編までたどり着いているがまだ完結していない。
すでに40巻を越えてしまっている。作者存命中に終わるのか?
ストーリー性があれば興味を持って勉強できると思って買ってみたのだが、これが文句なく面白い。
結局、奥さんと僕も夢中になり、読み終えると次が気になり次巻を買い、それを読み終えるとまた次を買う。
あれよあれよという間に増えていき、結局全巻購入してしまった。
それ以来、目論見通り娘は歴史が好きになり、江戸時代以外はもちろん、世界の歴史にも興味を持ち、そこにあるストーリーに惹かれている。
それは親たちも同じで、歴史の面白さに目覚め、今では高校の勉強のやり直しをコツコツしています。
時の権力者をもてはやすのはどうなのか
歴史に興味を持つようになって気になるのは、世間での歴史上の人物への過大な評価だ。
ビジネスマンは戦国大名の誰々が独自の発想で領土を上手く治めたから素晴らしいと褒め称える。
ミーハーな女子は歴女とか言われて、戦国大名や幕末の志士たちをアイドルのように崇拝する。
政治の世界においては歴史上の誰々が人心を掌握し革命をやり遂げたことを称える。
記録に残っている上辺の事実(それは大本営発表)だけを見れば、すごくは見えるかもしれない。
でも、リアルに今がその当時だと想像して、本当に素晴らしい人間だったといえるのだろうか?
今のわれわれ庶民は当時で言えばほとんどが百姓だからね。
百姓なんて当時の権力者からしたらゴミみたいなもんで、治世の時代も戦乱の時代もひどい扱いだったんだから。
室町の頃なんて、地方の権力者レベルがそこらの通行人を斬り殺したりするのが、ごく普通の光景だったんだ。
歴史に名を残している人なんて、そういう輩の親玉だからね。
ただ、そういう悪漢だからこそ、ストーリーが面白いというのはある。
歴史を勉強していても、そういうドラマがないと面白くない。
だけど、そういう人物を尊敬したり、敬愛したりするのはなんか違う。
今で言えば、北の将軍様を褒め称えているのとあまり変わらないんじゃないか。
もし、当時にtwitterがあったら、そんな権力者のアカウントなんて炎上必至。
今の政治家の失言どころじゃない。
2chの鬼女がこぞって権力者のプライベートをスネークして、プライバシーをネットに晒しまくっていただろう。
歴史は崇めるものじゃない。楽しむだけにしようよ。
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