今回ご紹介する「僕だけがいない街」はいわゆるタイムリープもの。
といっても、タイムリープは主人公の能力によるもので、現代と過去が舞台ということもあり、SF要素はまったくありません。
原作は三部けいによる漫画作品。2014年のマンガ大賞2位にもなった作品で面白さは間違いなし。
設定だけは突飛ですがストーリーはすごくしっかりしていて、画風もクセがないのでお父さんでも抵抗なく楽しめると思います。
あらすじ
売れない漫画家の藤沼悟はバイトでピザの配達中に時間が巻き戻ってしまう。
これは幼い頃から悟るに起きる現象で、”リバイバル”と呼んでいた。
リバイバルが起こるのは必ずなにか良くないことが起こるとき。
巻き戻った時間をやり直す間に、他人の不幸の種を見つけて解決するのだ。
うまく解決すれば不幸は回避できるが、悟には何の得にもならない。時には悟の身に不利益さえ降りかかる。
この時のリバイバルで怪我をしてしまった悟を心配し、北海道から母親の佐知子が上京する。
ある日、佐知子と買い物に出かけるとそこで再びリバイバルが発動。
今度はとんでもない不幸に見舞われた上に、犯罪者として追われる立場になってしまう。
追い詰められて逮捕される瞬間に、再びリバイバルが起こる。
巻き戻った時間の先は悟の小学校時代だった。
小学生の体に大人の頭脳で元の時代に続く不幸の連鎖を解決できるか?
この歳になったら誰もが子供時代を思い出し、あの時にこうすればまた違った自分になれたんじゃないか?違う人生があったんじゃないか?なんて思うことがあるでしょう。
- あの時にもっと勉強しておけば…
- あの時に本気で部活に取り組んでいれば…
- あの時、ケンカした友達に謝っておけば…
- 好きだったあの子に告白していれば…
なんてことが1つや2つきっと思い当たるはず。
人生の岐路なんて日常の些細なことにあるものです。
ちょっとしたボタンの掛け違いや、勇気を持って一歩を踏み出せるかどうか、などがその後の人生を大きく左右するんですよね。
何十年と生きてきた今になって初めてわかることかもしれません。
若いときは嫌なことは先送りにしたり、言い訳をしてやらなかったり。
若い頃の自分に会えるのなら、おしりを蹴っ飛ばしてでも行動させたいですね。
主人公の悟もそんな後悔を抱えた青年。
小学校時代に起きた事件が悟の心に影を落としていて、現在のパッとしない人生につながっている。
あの時勇気を出して声をかけていれば同級生を助けられたのではないかと、1歩を踏み出せない傍観者の自分がアイデンティティになってしまっているんです。
リバイバルで後悔だらけの人生を歩んできた大人の意識を持ったまま小学生時代に戻り、ダメな人生への岐路となった出来事で悟は正しい選択をできるのか?
ストーリーにのめり込んでいくうちに自分のやり直したい人生と重なって、懐かしくも苦い思い出の小学生生活を追体験しているような気分にさせてくれます。
ハードな内容ですが、後味のとてもいい作品。
原作がすばらしくても残念なアニメ化作品が多いのですが、本作は非常に良くできています。
ストーリーに多少の違いがありますが、原作を知らなくても全然OK。十分楽しめます。
興味があったら原作も読んでみてください。
Netflixで実写ドラマ化もされていてこちらもなかなか面白いですよ。
本作は2018年10月現在、Netflixで配信中。
現時点でどこで配信されているか知りたい方は以下の記事で紹介しているサイトでチェックしてください。
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