これまでは海外ドラマばかりを紹介してきましたが、今回はちょっと毛色の違った「ダレン・ブラウン サクリファイス」を取り上げました。
カテゴリーはドキュメンタリーとしましたが、リアリティー・ショーのほうがしっくりするかもしれません。
僕はもともとドキュメンタリーが好きでよく見ているのです。
だけどいままではドキュメンタリーはニーズがないだろうとレビューはしてきませんでした。
ところがこの「ダレン・ブラウン サクリファイス」はあまりにすごかったのでレビューせずにはいられませんでした。
昨夜、観たばかりなのですがこれは紹介しなければともうキーボードを叩いています。
一晩経ってもいまだに感動が残っているこの作品をぜひ皆さんにも見て欲しい!
人は他人のために犠牲になれるのか?
題名のサクリファイスとは犠牲のこと。
ストーリーを解説するとネタバレになるので予告編にされている範囲で簡単に説明します。
テーマは心理を操ってヒーローを創り上げる事ができるのかという実験リアリティーショー。
対象になる人はオーディションで選ばれた1人の男性。
彼にはドキュメンタリーということで本来の目的は知らされません。
科学実験の被験者ということでいろいろの設定を施します。
彼はアメリカでは珍しくない白人至上主義者で本人はレイシストではないと主張しますが世間から見ればレイシストの部類でしょう。
そんな彼が有色人種の人のために体を投げ出すヒーローとなれるのか?
成功するのか失敗するのかその一部始終が映されます。
ダレン・ブラウンはメンタリスト
リアリティー・ショーと書きましたが、心理実験の様子を映したものと言ったほうが正確かもしれません。
表題のダレン・ブラウンとは人の名前で、イギリスの有名なメンタリストでマジシャンです。
DaiGoがメンタリストになったのはダレン・ブラウンにあこがれてという話でも知られています。
つまりこの番組はメンタリストが一般人に対して心理的な仕掛けを行い、その一部始終を記録したもの。
観る人によっては、”壮大なたちの悪いイタズラ”と感じるかもしれません。
彼はこれで飯を食っているのですからショーであることは間違いありません。
しかし、彼のショーのすごいのは人間の心理を巧みに操り、人間の持っている道徳・信念・価値観がいかにもろいものかを如実に見せてくれるところです。
信念や信仰、民族意識など一般には良しとされている強い思い・考えが、人の行動をせばめ檻に閉じ込めていることを白日のもとに晒します。
彼は熱心なキリスト教徒でしたが、心理学や催眠術にも精通していていくうちに人間の信念やエゴが実体のない幻のようなものに過ぎないことに気づき、今では無神論者になってしまったそうですから納得。
人の心を見事に変えてみせるそのテクニックは衝撃的です。
「心なんて幻想だ」と突きつけられるようで、この人はエゴの正体を見破って悟りの境地を開いているのかと思わせます。
主義や信念が幻想であることに気づけば世界は平和になる
心が幻のようなものと言われたら、不安に思ってしまう人が多いかもしれません。
でも実際は逆で、その事に気づけば心は解放されて自由になり、心は穏やかになります。
この番組の被験者となった彼がそれを証明してくれます。
近所のトラブルから国同士の衝突まで、すべてはお互いの信念・民族意識・意地のぶつかり合いですから、そもそもそれらがちょっとしたボタンの掛け違い、ちょっとした相手への無理解に過ぎないことも教えてくれます。
人類が心の実態に気づくことができれば世界平和も夢ではないでしょう。
世界中の人にこの番組を見て欲しい。
昨夜、家族で観たあと皆が皆、口を揃えて
「すごい…。」
と漏らしていました。
以前にもこの人の番組は観たことがあって、それもかなりの衝撃を受けましたが、今回はそれを上回る傑作でした。
地上波では絶対に放送できない内容です。
放送したら炎上必至。
それだけ賛否両論を呼ぶ内容ですが、人の心の本質に注目して欲しい。
49分とけっして長い番組ではないので、時間を作って是非見てください。
ラストの1分はこれまで観たどんな映画よりも感動しました。
お涙頂戴の感動ではなく、人間っていいなという爽やかな感動です。
「ダレン・ブラウン サクリファイス」はNetflixオリジナルです。
わざわざ入会する価値あり。ぜひ!
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